宝塚雪組『波うららかに,めおと日和』(作:西香はち,脚本・演出:小柳奈穂子)を梅田芸術劇場からのライブ配信で観劇した。宝塚の切符は,入手しにくく,観客の95%以上は女性であるから,こうしたライブ配信の機会があるのはけっこうなことである。ただ,30分の休憩があるとはいえ,3時間観続けなければならない。もちろん録画はできない。
この『波うららかに,めおと日和』のコミックを読んではいないが,昨年4月のフジテレビのドラマは第1話から最終話まで観た。純真で一途な新妻と不愛想で何か訊かれても「問題ありません」しか言わない夫が新婚生活を送るうちに互いの愛情が深まるというだけの内容である。こうした時代離れした話にするためには,昭和11年を舞台とし,夫を海軍中尉とする必要があったのだろう。
テレビドラマ版は数多くの賞を獲得しているが,主役の芳根京子が適役であったことは間違いない。心の動きが手に取るようにわかりほほえましい。宝塚版は,雪組の娘役トップになったばかりの音彩唯で,大柄で目が大きく整った顔立ちであるが,今一つ訴えるところが少ない。夫婦中心の少人数の話であるが,宝塚の場合,各組に所属する60人ほどの組子の出番を用意しなければならない。そのため,海軍の軍人や一般の人々が大勢登場する。しかもミュージカルであるから歌が入るのだが,その中には軍歌も多い。戦意高揚場面もあるので,日本的軍国主義らしくなり,タモリの言う「新しい戦前」を感じてしまった。宝塚が時代の風潮を先取しているのか。
テレビでは『波うららかに,めおと日和』の続編が作られるらしいがどうなるだろう。