月に一度行っている東京のデパートの地下街である。ここには専門店の部分と,精肉,魚,野菜を並べた部分がある。まず,専門店で稲荷ずしを8個購入して,クレジットカードで支払った。そのあと,買い物かごを取り,海苔巻き,牡蠣などを入れてレジのカウンターに行った。ところが先ほど使ったクレジットカードが財布の中になかった。とりあえずは別のカードで払った。
クレジットカードを財布に戻さずに上着のポケットに領収書と一緒に入れたままにしておいたが,見付からないという状況である。ポケットや鞄などを確認した後,稲荷寿司の店で忘れていなかったか尋ねたが,知らないという。
途方に暮れ,これまで歩いた後をたどってみた。すると,野菜を入れた大きなかごがあり,よく見ると,かごの端にクレジットカードが入っている。カードを手に取って近くにいた係員にこれは落とし物かと訊くと多分そうだという。断って,カードを手にしてそのまま帰った。
実にうれしかった。落とし物センターに行ったり,手続きしたりする手間を考えるとうんざりする。つねづね,日本人は他人の落とし物に敏感だと思っていた。落とし物を見つけたら,落とし主が戻ってくることを予想して,その近くの目立つところにおいておくという配慮であったかもしれないし,面倒なので,そのあたりに置いておこうと思っただけかもしれないが,いずれにせよ感謝するしかない。
毎週,行っているスーパーの野菜担当から電話がきた。月に一回,特定商品が5%のメンバーズ割引になる。ところが,先日に買ったセロリが割引対象なのに割引になっていなかった。そこで429円の5%の22円を返却したい,これから届けるとのことだった。22円のためにわざわざ来るのかと思ったが,返金を断ることができないようなので,次回,行ったときに受け取る旨を伝えた。
しかし,なぜ,このようなことになったのか考えた。もちろん,誠実さをアピールすることが背景にあるのは確かだろう。他の客からセロリが割引になっていないとクレームが来たので,すべての販売記録を調べて,他に該当する例はないか調べ,セロリを買った客に連絡した。その結果,このような対応になったのだろうと思ったが,翌週,確かめるとその通りだった。「セロリ」と言っただけで,反応があった。ご苦労なことではあるが,面倒なことをするものだ。