テレビドラマ『ヨルガオ殺人事件』

 ミステリチャンネルで『ヨルガオ殺人事件』(原作・脚本:アンソニー・ホロヴィッツ)の日本初公開ドラマを観た。原作は,2021年に読んだ。この年の多くの海外ミステリランキングで1位になった。ドラマは,6話で構成されている。

 前の『カササギ殺人事件』同様,二つの殺人事件が組み合わされている。ミステリの編集者スーザン・ライランド(レスリー・マンヴィル)は,恋人のアンドレアスが経営するクレタ島のホテルで暮らしていた。そこに英国でホテル主の老夫婦が訪れ,そのホテルで殺人があり,しばらくしてホテルを運営していた新婚の娘が失踪した。娘は,いなくなる直前にスーザンが担当したアラン・コンウェイのミステリ『愚行の代償』を読んで,犯人がわかったと言っていたので,本に手掛かりが見つかるだろうから報酬を出すので英国に戻って娘を探してほしいと依頼した。スーザンは退屈なのと,ホテルの経営にまとまった金が必要なので一人で英国に戻り,関係者を訪ねまわる。

 コンウェイはもう死んでいるが,8年前に起きた女優の殺人事件をもとに『愚行の代償』を書いた。そこで,『愚行の代償』の内容が組み込まれる。こちらの主人公は,コンウェイの主人公の探偵アティカス・ピュント(ティム・マクマラン)である。今度も優秀な女性の助手がいる。

 現代と『愚行の代償』の二つの事件の多数の関係者がいて,両者の捜査場面が短い周期で代わる代わる出てくるので,集中しにくい。両者をつなぐのは,アティカス・ピュントと警視,それに「フィガロの結婚」くらいで,犯人がわかるとそこに共通点が見つかるといった程度で,二つの物語をなんとか一つにしているところに才気を感じる程度である。英国人らしいというか歪んだ性格の人物が何人も登場する。第一,スーザン自体が自分勝手であまり好感を持てない存在であった。スーザンが赤いスポーツカーを走らせる場面が無意味に何回も出てくる。