カーリング日本代表の結果は妥当だった

 ミラノコルティナオリンピックで日本代表のフォルティウスは2勝8敗だった。結成された頃からのロコ・ソラーレのファンなので,ロコ・ソラーレが代表決定戦でフォルティウスに負けた時はがっかりした。しかし,代表決定戦から最終予選にいたる過程ではフォルティウスは無類に強かった。リード,セカンドは安定していて,スキップの精度は高かった。

 しかし,オリンピックは,開催国枠のイタリアを含む強豪8チームが出ていて,勝つことは難しく,フォルティウスは上位チームとの間には見えない壁があるようだった。チーム全体の波も落ちていたのだろうが,もともと8位~10位あたりに位置していたので,妥当な結果であった。しかし,毎日,3時間の試合を観て敗戦続きとなると,テレビでの観戦者には不満が溜まってしまう。さらに,日本のカーリングファンのおそらく7割~8割はロコ・ソラーレ贔屓であるから自ずから同じ方向性を持った投稿が多くなる。

 その結果,Yahoo!ニュースのコメント欄などでは,フォルティウス批判の投稿が数千件にのぼった。普段,SNSはほとんど見ないが,これらのコメントはいくつか見た。その中に「robozamurai」という方の投稿があった。「4年に一度の“カーリング評論家”の皆さんへ」という次のような内容だった。

「氷が読めない」は言い訳ではない。氷の変化に自分達が対応できなかったという反省の言葉です。ロコも頻繁に使う表現。
「選抜制にしろ」は簡単ではない。カーリングは長年の意思疎通が土台の競技。五輪出場チームは全て継続チームで、例外のミュアヘッドも数年準備した体制で、即席ではない。実現には莫大な資金と専門スタッフが必要。
「雰囲気が暗い」は比較の問題。例えばロコは特別に明るいが、他国はクールが普通。No.2のティリンゾーニなんて暗すぎ。
「世界経験がない」は事実確認が必要。フォルティウスは五輪直前の世界ランクは出場国中4位。ランキングや実績を見れば評価は変わります。
「ガードは無駄」という意見的外れ。コーナーガードは攻めの基本。戦術を理解してから議論を。

 おっしゃる通りである。選抜制はカーリングの特性を考えれば難しいことはすぐわかる。試合のなかでのリード,セカンド,サード,フォースの役割の他,スキップ,スウィパーとしての能力,ドローの正確さ,テイクアウトの腕力,さらには経験やコミュニケーション能力などのバランスで個々のチームは構成されている。スキップはフォースとは限らず,スイスのようにサードがスキップであるチームも多い。

 また,いくつか試合を普通に観ていればガードが必要なことはわかる。女子の決勝戦で優勝したスウェーデンは,コーナーガードは置かないようにしていたが,センターガードは多用していた。ガードストーンがなければ,ストーンの単なる打ち合いに終わるつまらぬスポーツになる。

 しかし,フォルティウス固有の敗因もいくつか挙げることはできる。個々の状況における判断の速さや妥当さに問題がありそうだった。チームを支えるコーチ陣も機能しているようには見えなかった。氷の状態や声援で指示が聞こえにくいなどの環境への対応はチーム全体で担わなければならないはずである。それに相手チームは,これまで何度も対戦し,自分たちの強みも弱点も知っている厄介なロコ・ソラーレよりもフォルティウスは,与しやすいと思っていただろう。

 今回,日本以外のチームのカーリングの動画配信試合を観ていて,飽きなかった。カーリングを気に入っているのは,思考力と力が試され,必ずしもスポーツとは言えない境界上にあり,他に似ている種目のないユニークな競技である点と,ストーンがコントロールから離れた後は,一瞬だが偶然の,触れられない世界に入ってしまうところである。