『ばけばけ』の錦織は何を思う

 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』を集中して観ている。特に,2026年の最初の週の展開は素晴らしかった。

 ヘブン(トミー・バストウ)が(そばに)『居てもいいですか』と言って,結婚が決まる。この時のトキ(髙石あかり)の表情が強く印象に残る。着たきりで,いつも少し足を開いて立っていて,一人で六人の生活を背負っていたトキと髙石あかりは一体化している。

 トキとヘブンの距離が縮まる過程をあからさまに描くことはせず,ただ,怪談を語る場面だけで,お互いを描いた絵でほのめかす。また,異人との結婚について,あらかじめリヨ(北香那)が自分でヘブンに売り込むことでハードルを下げていた。

 浅慮の司之介(岡部たかし)が物語を進める。そういえば秋のフジテレビ『小さい頃は,神様がいて』の北村有起哉も周りの雰囲気を読めない父親だった。また,役割の異なる母親が二人いて,それを周囲が肯定するという展開はTBS『フェイクマミー』と同じだった。起きている事態についていけない父親は頼りにされず,それに対し母親の立場は,呼び方と役割の分担のおかげで一層強くなる。ただ,トキの「母上と呼びたかった」という台詞はどうなのだろう。

 なぜ,北川景子,小日向文世,池脇千鶴らがそれぞれの役を引き受けたのかがよくわかった。今までのところ言葉による意思疎通が困難な中で二人を支える役割の錦織(吉沢亮)は,出演場面が長く,第三の主役のように見える。トキに恋心を抱くこともなかったが,今後,重要な役割が待っているのか。