今年の正月のテレビで最もはらはらしたのは,2日のNHK Eテレ狂言の「才宝」だった。祖父と三人の孫の交流なのだが,祖父を演じるのは,95歳の人間国宝の野村萬で,孫は,実際の孫たちだった。野村萬の声は明瞭でよくとおる。しかし,足腰の弱さは隠せず,息子の野村万蔵が「後見」する。最後に孫たちが組んだ手に腰をおろして運ばれ,そのまま退場する。観客なしの舞台だからうまくいくとわかっても観るほうは緊張する。
NHKの「紅白歌合戦」は,もう観ないが,NHK ONEに,「紅白歌合戦を今すぐ見る」があって,その中に「曲順チャプターリスト」が作られていて,特定の曲だけを観ることができるようになっていた。切り売りという感じだが,よい試みだった。
箱根駅伝は正式名は「東京箱根間往復大学駅伝競走」で読売新聞社と日本テレビが育ててきた。今年は,往路の第一区で出遅れたものの,第五区で奇跡的にトップに立ち,往路優勝にいたる青山学院大学は,まるで演出されているかのような展開をみせた。ただ,例年のことだが,青山学院大学がトップになると復路は単調になることが多く,今年は特に極端だった。「シード権」争いなど関係大学の当事者以外に関心の持ちようはない。走り終えて倒れている選手の苦しそうな顔を映すのは悪趣味でしかない。また,思い入れたっぷりなCMが大量に続くと,CMの効果はなくなるのではなかろうか。
NHK総合で,2日のラグビーの全国大学選手権準決勝の中継が続いているのはありがたい。今年は対抗戦3校,関西リーグ1校であるが,気になって,選手の出身高校を東と西で分けてみた。各チーム23名のうち,西の高校の出身者数は,京都産業大学21名,帝京大学も同じく21名,明治大学15名,早稲田大学13名となった。92名のうち70名が西の出身で4分の3を占めていた。東のうち桐蔭学園が多数で,桐蔭学園高校の中にも関西の中学の出身者がいるだろう。全体としてラグビー選手の割合は,かなりの西高東低で,関西と九州北部出身者が中心らしい。
さて,駅伝の青山学院の黒田選手とともに驚いたのは,高校ラグビーの5日の準決勝,神奈川の桐蔭学園対大阪桐蔭戦における桐蔭学園だった。シーソーゲームだったが,終了3分前に大阪桐蔭が得点し,21-17と勝利を目前とした。しかし,主将が怪我で途中退場していた桐蔭学園は,中央から約7分間,ドライビングモールなどを加えてミスなくゴールラインに迫り,ついに逆転トライを挙げた。負けた大阪桐蔭の選手ばかりでなく,桐蔭学園の選手たちも涙をこぼしていた。よく訓練され,決してあきらめず,最後まで間違いなくやり遂げてしまうのが桐蔭学園である。