「これまでに経験したことのないような」の主語

 今年,上陸した台風は,北海道襟裳岬付近に上陸した台風5号と高知県宿毛市付近に上陸した台風15号だった。台風5号は,東北地方に沿って真っ直ぐ北上して北海道に上陸するという不思議な進路をたどったが,台風15号は,高知県に上陸して近畿地方に向かうという典型的なコースをとった。

 台風の上陸というのは,気象庁の定義では「台風の中心が,北海道,本州,四国,九州のいずれかの海岸線に達した場合」であって,沖縄や八丈島を通っても「通過」ということになるらしい。昨年同様,今年も上陸する台風は少ないようだ。

 最近,気になるのは,気象庁の気象表現の用語である。「大雨警報」や「暴風雨警報」などのほかに「特別警報」というのがあるようだし,研究者間で使われていた「線状降水帯」を最近になって頻繁に使い始めた。

 しかし,「顕著な大雨に関する気象情報」の「顕著」は適切な表現とは思えない。さらに,これも最近,何かといえば使われる「これまでに経験したことのないような」という言い方は,主語がないので不安定であるし,「数十年に一度も経験しないような災害の発生が予測される」というのも同様である。

 異常な気象が続き,気象庁は,保守的な一般の人々の注意を喚起したいので,こうした表現や大げさな用語を使うようになったのだろうが,どこか的外れな感じが否めない。