かなり前に,アマゾンのaudibleで『細雪 上』に取り掛かっていたが,そのままになっていた。そこで,残りを読み,『細雪 中』に進もうとしていた。
『青い壺』の単行書は,古書価格が2万円近いが,今は,文春文庫の冊子体,kindle版,audible版がある。近くの区立図書館では,200件以上の予約がある。
Audibleは,声だけだから他のことをしながら聴けばよいと思っていたが,小説の場合はそうはいかなかった。この『青い壺』は微妙な心理の変化の描写,鋭い皮肉があり,集中して聴かなければならない。
全部で10時間という長さで,第一話は壺の誕生,第二話は男の定年後の姿,第三話は見合いの不成立,第四話は財産分与の争い,第五話では目の見えなくなった老母を一人娘が面倒をみる。主人公は壺だが,主要な登場人物は高齢者である。第二話には戦慄する場面があり,映画『東京物語』を彷彿させる第五話は穏やかだった。今では入院しなくてもできる白内障手術に何週間も入院するといった違いは数多くある。しかし,ある年代以上の人々は,時代の違いに左右されない普遍的なエゴイズムの存在をリアルに感じるのだろう。
最も好きなのは,京都で行われる女学校の同窓会に30万円を持って出かける裕福でわがままな老婦人の話だった。
本なら少し読み飛ばしても大丈夫だが,audibleは,スキップすることができない。今度は吉田修一『国宝』を聞き始めたが,「上」だけで20時間を超える長さなので,印刷版のほうがよいのかもしれない。